安藤の随筆 あのよろし オレオレ詐欺

あのうだるような暑さの夏は勢いを忘れたかのように過ごし易い、下手すると肌寒いくらいの秋へと移り変わった。

それでもお昼ごろは何とか暑くする秋ってやつは「若い頃はやんちゃやってました。」という調子のいい口だけ番長のように憎めない。

休日のリビングで長袖に半ズボンという、暑くも寒くもあるこの時期うってつけのスタイルで再放送のバラエティーを見ている全身隙だらけ僕はかろうじて暇をつぶせていただろう。

そんな僕とは対照的にあわただしく洗濯や炊事と、家事をこなす母が大きめの独り言をつぶやく。

母「テレビ見ながらでも洗濯物はたためるのになー。」

皮肉10割独り言0割の母の小言をテレビCMの存在のように0で受け取る僕に母は深めのため息をついて、あてつけのように掃除機のスイッチをいれた。再放送のテレビの音声はかき消された。

こうなると僕はもう、寝たふりをするしかないのである。

 

ジリリリリリ・・・・・・ ジリリリリリ・・・・・・ ジリリリリリ・・・・・・

 

 

人間の発明って言うのはよく出来ている。

どんなに騒がしい状況でも耳に届くように電話の受信音は工夫されてるのだろう。

僕は携帯電話を持っているので家の電話は一切出ない。僕に用事があるならばその人は僕の携帯電話にかけるからだ。

 

その理屈をしっている母は僕を当てにすることも無く掃除機を止め電話にでた。

まぁ、電話に出るよう頼まれたとしても、僕は絶賛狸寝入りなうなのである。

 

母「はい、もしもし、安藤です。」

電話相手「・・・・・・。」

母「もしもし?安藤です。」

電話相手「・・・・・・。あ?かあさん?俺だけど。」

母「え?もしかして、森本オレ?」

電話相手「そうそう、オレ!森本オレ! んー機関車スマート   スマートとンゴード・・・・・」

電話相手「って逆!逆!森本なしの、お!れ!」

母「ごめん、ごめん。 森本ナシゴレンね。」

電話相手「ハイ!どーもー!インドネシアでピン芸人やってます、森本ナシゴレンって言いいます。名前だけでも覚えて帰ってください。それでは森本ナシゴレンの一発ギャグ『果物屋』」

電話相手「おじさん!おじさん!この柿下さいな!おいくらですの? え? 100円?まー安い!じゃーこっちのりんごは? え?50円?すごく安いわーじゃこの梨は?え5円?梨5円?そして私は森本ナシゴレン!・・・・・・っておい!オレだよ!母さん。オレの声忘れちゃったの?」

母「はっ!その声は!まさか?」

電話相手「そうだよ!母さん!」

母「もしかして、大須米兵守轟左衛門五臓六腑垂流し丸一攫千金夢見打砕三十朗なの?」

電話相手「そうだよ!おおすこめひょうのもりとどろきざえもんごぞうろっぷ・・・・長い!長すぎる!!so long!」

母「ごめん。ごめん。最近物騒だからカマかけたのよ!分かってるわよ、ほんとは玉蜀黍太郎でしょ?」

電話相手「そうだよ!たま・・・・・・?  !? 読めない!!」

母「この字はね、『とうもろこし』って読むのよ!さてはあなた私の息子ダイスケじゃないわね!」

電話相手「ふふっふっふ、ばれてしまってはしょうがない。私の正体は、、、」

 

 

メリッ!メリメリメリ!!!!!!

 

 

電話相手「ダイスケだよ!母さん!」

母「おお!我が息子ダイスケ!」

感動の再会!!お互いなきながら久しぶりの再会の喜びを噛み締め号泣。

リビングに響き渡る号泣にさすがに起き上がりそっと電話を切る俺。

 

 

オレ「さすがに掃除機よりもうるさいよ。分かったオレの負けだよ。オレも洗濯物たたむよ。」

母「な、なんなのあんた?さっきからオレの負けだの、オレもたたむとか・・・・・・は!まさか?」

母「あんたオレオレ詐欺でしょ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜなのか?

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